| Home |
2012.10.11
ピアニスト・プレスラー氏
今日は、ピアニストのメナヘム・プレスラー氏にドイツ国籍が授与(実は再授与)されるという記事です。
9月26日の南ドイツ新聞から抄訳。
その前に2つほど予備知識を...
欧州文化首都…毎年ヨーロッパ内の都市が選ばれて、各種文化行事を展開する事業。2012年度はギマランイス(世界遺産の町…ポルトガル)とマリボル(スロベニア)の二都市
招致活動をする都市もある....という背景からお読みいただくと良いと思います。
メナヘム・プレスラー…今年89歳になる伝説的とも言える名ピアニスト、インディアナ大学教授。ドイツ生まれで、ナチスの迫害からイスラエルへ逃れた。親戚は何人もナチスドイツの犠牲になったそうです。
73年後の国籍授与

9月28日マグデブルク市において、ある人物へのドイツ国籍授与が晴れやかに行われる。
マグデブルクは欧州文化首都に選ばれることを目指し、そのための親善大使にふさわしい有名人を探し出した。ピアニストのメナヘム・プレスラー氏である。
プレスラーはマグデブルクに生まれ育ち、その後家族とともにイスラエルへ逃れ、そこで結婚。第二次大戦後にアメリカへ移住し、ソロピアニストとして活躍。のちにピアノトリオを結成する。これが世界屈指の実力で、何十年にもわたってその名をとどろかせたボザール・トリオである。
(ボザール・トリオのCD)
彼はヨーロッパやドイツには好んで演奏に訪れている。「何と言っても私の文化的な拠りどころはドイツなのです。親しい友人たちはドイツ人ですし、ドイツ語も忘れていません」と、プレスラーは語る。
彼の夫人はイスラエル人だが、ドイツ語を勉強し、その家庭では子どもたちとドイツ語が話され、ハイネやゲーテが読まれ、シューベルトやベートーヴェンが演奏される。
プレスラーは言う。「こういうことをアウシュヴィッツ後は出来なくなった人々の気持ちは、よく理解できます。でも私の心の中にはずっと、『文化の国ドイツ』が生きているのです。(...)私はドイツ文化にたいへん感謝しておりまして、ドイツ国籍を頂けることを光栄に思います」。
「イスラエルで、私は『人間らしさとはどういう事か』を学びました」。イスラエルへの逃避行や、その後の思い出を語る際のさりげない言葉は、今私たちドイツ人の心にずっしりと重く響く。
プレスラー氏がドイツ国籍をただ受け入れるだけでなく栄誉ととらえ、さらにドイツという国を、カントやゲーテやベートーヴェンが今も生きているような、そういう国だと語ってくれるならば、それこそまさにドイツにとっての栄誉であろう。
翻訳おわり
文化首都の招致活動のために「ゆかりの有名人」を見つけ出したが、じつは苦い過去があって…ということでした。
それにしてもプレスラーは、ピアニストとして稀有な人というだけでなく、ほんとに大した人物だと思います。
今日のブログはドイツ語の授業で使った記事で、先生の手が入ってますから、いつもの訳文よりは品質保証できますです(笑)
演奏にご興味のある方は、You-Tubeの こちら
(ショパン:マズルカ 2分48秒)
もと記事は こちら
9月26日の南ドイツ新聞から抄訳。
その前に2つほど予備知識を...

招致活動をする都市もある....という背景からお読みいただくと良いと思います。

73年後の国籍授与

9月28日マグデブルク市において、ある人物へのドイツ国籍授与が晴れやかに行われる。
マグデブルクは欧州文化首都に選ばれることを目指し、そのための親善大使にふさわしい有名人を探し出した。ピアニストのメナヘム・プレスラー氏である。
プレスラーはマグデブルクに生まれ育ち、その後家族とともにイスラエルへ逃れ、そこで結婚。第二次大戦後にアメリカへ移住し、ソロピアニストとして活躍。のちにピアノトリオを結成する。これが世界屈指の実力で、何十年にもわたってその名をとどろかせたボザール・トリオである。

彼はヨーロッパやドイツには好んで演奏に訪れている。「何と言っても私の文化的な拠りどころはドイツなのです。親しい友人たちはドイツ人ですし、ドイツ語も忘れていません」と、プレスラーは語る。
彼の夫人はイスラエル人だが、ドイツ語を勉強し、その家庭では子どもたちとドイツ語が話され、ハイネやゲーテが読まれ、シューベルトやベートーヴェンが演奏される。
プレスラーは言う。「こういうことをアウシュヴィッツ後は出来なくなった人々の気持ちは、よく理解できます。でも私の心の中にはずっと、『文化の国ドイツ』が生きているのです。(...)私はドイツ文化にたいへん感謝しておりまして、ドイツ国籍を頂けることを光栄に思います」。
「イスラエルで、私は『人間らしさとはどういう事か』を学びました」。イスラエルへの逃避行や、その後の思い出を語る際のさりげない言葉は、今私たちドイツ人の心にずっしりと重く響く。
プレスラー氏がドイツ国籍をただ受け入れるだけでなく栄誉ととらえ、さらにドイツという国を、カントやゲーテやベートーヴェンが今も生きているような、そういう国だと語ってくれるならば、それこそまさにドイツにとっての栄誉であろう。
翻訳おわり
文化首都の招致活動のために「ゆかりの有名人」を見つけ出したが、じつは苦い過去があって…ということでした。
それにしてもプレスラーは、ピアニストとして稀有な人というだけでなく、ほんとに大した人物だと思います。
今日のブログはドイツ語の授業で使った記事で、先生の手が入ってますから、いつもの訳文よりは品質保証できますです(笑)
演奏にご興味のある方は、You-Tubeの こちら
(ショパン:マズルカ 2分48秒)
もと記事は こちら
スポンサーサイト
「ショパン:マズルカ」を聴いて、側にあったモーツアルト:ピアノ協奏曲 第17番も聴きました。
とても軽やかにピアノを弾く89歳の手。
ちょっと特徴的な、「お口もぐもぐ」が微笑ましい方ですね。
苦い過去など、ピアノを弾く時はすっかり消えてしまうのかも。
とても軽やかにピアノを弾く89歳の手。
ちょっと特徴的な、「お口もぐもぐ」が微笑ましい方ですね。
苦い過去など、ピアノを弾く時はすっかり消えてしまうのかも。
2012/10/12 Fri 17:31 URL [ Edit ]
| Home |