2017.10.12 服喪の白鳥
ドイツの新聞に風変わりな「パートナー募集」記事を発見。
募集しているのは人間ではなさそうですよ。
舞台はドイツ南部、チューリンゲンの森に近い、レーデンタール市。
募集を呼びかけているのは、市内ローゼナウ公園の城庭園管理部とのこと。
8月10日 ヴェルト紙より、以下訳文

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   (ローゼナウ城)

ローゼナウ公園内には2ヘクタールの池があり、2羽の黒鳥が飼われている。
「このローゼナウ城の歴史には、黒鳥が大きな意味を持っています」と、庭園管理部長のシューベルト氏は言う。
黒鳥のために今年7月、由緒ある造りを再現した黒鳥舎が完成。冬季にはこの建物が、黒鳥の越冬施設となる予定である。

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 (ローゼナウ城の黒鳥。以前のペアの写真)

ローマ時代の詩人ユウェナリスは、「貞淑な妻というものは、黒鳥ほどに珍しい」と言った。(なんのこっちゃい?訳者注)
つまりそれほど黒鳥は珍しいのである。ドイツ国内の生息数は50羽ほどと見られている。

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   (飛行中だけ内側の白い羽が見える)

ローゼナウの黒鳥の由来は、イギリスのヴィクトリア女王時代に遡る。
女王の夫となったのは、このローゼナウ城出身のアルバート王子だった。その後早世した夫への追悼に、女王がローゼナウ城へ2羽の黒鳥を贈ったのである。
以来、池の黒鳥はこの城の伝統となった。
(ドイツ語で黒鳥のことを「服喪の白鳥」という。訳者注)

ところが今年7月、大事件が起こる。1羽の黒鳥が忽然と消えてしまったのだ。
その後の捜索で、池の近くに残された羽や骨から、キツネに襲われたことがわかった。

公園管理部は、残った1羽のパートナー探しを猛然と開始した。
呼びかけはメディアはもとより、広く一般市民にも向けられている。
「手に入るならば雄雌は問いませんが、そもそも番で飼われているケースが多く、1羽だけの入手はむずかしいと予想されています。越冬施設も完成済みで、いつでも迎え入れられるのですが...」と、シューベルト氏は言う。

現在も、「黒鳥求む」の募集は続いている。ご自宅に黒鳥を飼っている方は、ぜひローゼナウ城へご連絡下さい。
schloss_convert_20171012162642.jpg (新緑のローゼナウ城)

翻訳おわり
これは8月の記事訳ですが、今ローゼナウ公園のHPを見ても、パートナーが見つかったという文は見当たりません。募集は難航しているのかも。

もと記事は こちら
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2017.07.15 卵の形
今日はドイツのツァイト紙から、科学欄に載った論文紹介を訳してみました。

飛ぶのは上手? …卵を見ればわかる!

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鳥の卵はその種類ごとに、球形、楕円形、片方のとがった円錐状…など色々である。形の違いについては「岩礁に住む鳥の卵の端がとがっているのは、岩を転がり落ちないため」とか、「一度に産み落とされる数に関係する」など諸説あり、その理由はこれまで解明されていなかった。

形の違いはどこからくるのか…. その謎を解くための研究論文が、このたびサイエンス誌に掲載された。調査を行ったのは、プリンストン大学のストッダード氏らの研究チームで、19世紀後半~20世紀初頭にかけて世界中から集められた1400の鳥種、5万個におよぶ卵の写真を分析し、その形状と生息環境や巣の大きさなどとの関連について、網羅的な系統図を作成した。

着眼点は卵の形状で、シンメトリーかどうか、楕円状ならばその楕円の細長さ。シンメトリーでない場合は一方の端がどれだけとがっているか。

外見からいうと、最もとがった卵はアメリカヒバリシギ(Calidris minutilla)、最も長い楕円はセレベスツカツクリ(Macrocephalon maleo)で、私たちの見慣れたニワトリの卵形は、必ずしも多数ではなかった。
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   (アメリカヒバリシギ)


さらにすべての鳥種で、飛行能力に直結するハンドウィング指数(翼の長さを指数化したものと思われます、訳者注)も考慮された。

その結果、「ハンドウィング指数の高い鳥」、言い換えると「飛行能力の高い鳥」ほど卵は楕円(つまり横長の形状の)、または先のとがった形が多数を占めることがわかった。たとえばヨーロッパアマツバメは生涯のほとんどを空中で過ごすことで知られているが、その卵はとても長い楕円状であり、飛べないダチョウでは卵は球形に近いものであった。

また卵の形が、鳥の種の進化とともに変わってきたこともわかった。研究者らは、ある種の鳥が飛行能力を発達させてきた歴史の中で、卵の形もそれに沿って進化したと推論する。

それは、鳥の体内で卵ができる過程で説明することができる。薄膜(Membran)に包まれた卵が輸卵管を回転しつつ進む。殻はまだない。(殻ができるのはずっと後の段階である)。つぶれ易いかたまりを薄膜が支えているこの過程で、卵の形が決まってゆくのである。体形が流線形で飛行能力の高い鳥ほど、骨盤も狭く、卵が細くならざるをえない。そして直径の小さい卵にヒナを格納するために、卵は少しでも長く、場合によっては先のとがった細長い形状へと進化したのだろうと、研究者らは推論している。

翻訳おわり
久しぶりの翻訳作業は気持ちよく疲れました
翻訳もと記事(ドイツ語)は こちら
2017.01.12 アマツバメ
新年初翻訳は、鳥さんの話題でカッコいいものがいいなぁ… と探してみたら、ありました! 飛行時間新記録のアマツバメさんです。
昨年10月の記事なので、鳥好きの皆さんはご存知の内容かも。
2016 年10月 28日、ヴェルト紙より

10か月間飛び続けるアマツバメ
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ヨーロッパアマツバメは10か月もの間、地上に降りずに飛び続けるという研究報告が、米科学誌『カレント・バイオロジー』に発表された。314日間の飛行は鳥類最長記録である。

ルンド大学(スウェーデン)のヘデンストレーム博士を中心とするチームは、繁殖期を南スウェーデンで過ごすヨーロッパアマツバメ13羽に記録装置を取り付け、2年にわたって追跡した。
すると、彼らが地上で過ごすのは繁殖期2か月間のみ。繁殖後はアフリカへ渡るが、渡り途中も含めて次の繁殖期まで、ほぼすべての時間を空中で過ごしていることがわかった。

夜だけ時折、地上に降りる個体もあったが、それでも99.5%の時間は空中にあり、一度も着地しない個体のほうが多かった。最長記録の一羽は、314日間の飛行を記録した。

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鳥たちはどのように空中で睡眠をとっているのだろうか?
これについてはマックスプランク研究所の科学者らが学術誌『ネイチャーコミュニケーションズ』に掲載した報告がある。これは、グンカンドリが滑空しながら眠っているというもので、1日あたりの睡眠はほぼ45分間ほどという。その間、脳の半分は覚醒して、そちら側の眼が開いてる。また時には、脳全体が睡眠モードになることもある。

オオグンカンドリ(グンカンドリ♂)

アマツバメもこのように睡眠をとっているのだろうか。
実際に計測器をつけたアマツバメは、午前7~8時と午後6~7時頃に、強い羽ばたき運動をしている。この時に、高く高く上昇してゆくのだろう。その後は羽ばたきが減少し、滑空する「省エネモード」の状態が続く。

「アマツバメたちは毎日、朝日と夕日をあびつつ羽ばたいて2000m~3000mまで上昇し、その後ゆっくりと滑空しながらひと眠りしていると推測しますが、その睡眠方法は解明されていません」と、ヘデンストレーム博士は言う。

翻訳終わり
カッコいい話ですね~
猛禽類に襲われる危険もなく、くつろげるのでしょうか。
小鳥を飼うと、夜は止まり木に片足でとまり、丸くなって背中に頭を突っ込んで眠っているのを見ますが、それが普通の就寝スタイルですよね。
ちなみにアマツバメに付けた記録装置は、鳥の負担にならないよう1グラムほどのものだったそうです。

グンカンドリの睡眠を紹介している記事は こちら でお読みになれます。
翻訳もと記事(ドイツ語)は こちら
ドイツの北の方に、ハンブルクという都市があります。
街のそばにアルスター湖が広がり、そこに泳ぐ白鳥は街のシンボルとして大切にされているそうです。

緯度でいうと、北サハリンと同じあたりなので、冬は寒い。
湖が凍ってしまうので、初冬になると白鳥さんたちは数キロ離れた用水池へ運ばれ、冬越しします。
「白鳥の引っ越し」、ニュースを翻訳してみました。
11月11日 ビルト紙より、 以下訳文

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(今年、用水池へ移される白鳥)

ハンブルク発
鳥インフルエンザの心配から、120羽を越えるアルスター湖の白鳥は例年より早く、越冬地であるエッペンドルファー用水池に移された。
あとは越冬用テント施設の完成を待つばかりである。これは500㎡の大テントで、来週初めには完成する予定。鳥たちは池からテントへ移動し、ここでひと冬を過ごすことになっている。

お世話係であり、「白鳥のお父さん」 としても有名なオラーフ・ニース氏によると、テントでの越冬は今年で3回目になり、白鳥たちはリラックスして過ごすそうである。「テント内では興味深い現象が見られますよ。鳥たちはいくつかのグループに分かれて、順番に行動するようになります。第1グループが水浴びをしている間に第2グループは羽繕い、第3グループは食事をするという具合です。時間がたつと順番が交代し、きっちりしたサイクルが出来上がるのです」。

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(2014年の報道写真、テントへ誘導される白鳥)

ドイツ西部のシュレースヴィヒ=ホルシュタイン州で鳥インフルエンザが発生して以降、家禽を屋内にとどめよう、ハンブルグ市当局によって通達が出されている。

翻訳おわり
1枚目の写真で船に乗っているのはニース氏、ほんとに鳥が好きで仕事をしている感じの方ですね。
白鳥を船に乗せるお引越しは、ハンブルクの冬の風物詩だそうです(^^)

翻訳原文(ドイツ語)は こちら

「始祖鳥は鳥の祖先ではない」って、皆さんご存知でした? 
私が若い頃はそういう風に教わりましたが、考古学の進歩で覆されたのですね。へぇ~です。(今頃おそい?)

木にとまる始祖鳥(始祖鳥、ウィキよりお借りした画像です)

昔々地球に小惑星が衝突した結果、大型恐竜は絶滅したと言われています。
でも、この災難を生き延びた恐竜もいる。それがのちに鳥類へ進化したと考えられているそうです。なぜ彼らは生き延びることが出来たのでしょうか?… 学術雑誌『カレントバイオロジー』に、研究論文が発表されました。
内容を報じるドイツWeld紙の記事を読んでみました。抄訳です。以下訳文


アーケオプテリクス


1億5000万年も前の、アーケオプテリクス(始祖鳥)の化石を見ると、クチバシに小さな歯列があり、昆虫や肉の切れ端などを好んで食べていたことがわかる。「その何百万年も後、この歯列が始祖鳥の子孫たちにとって大きな弱点となったであろう」とする論文が、学術雑誌『カレントバイオロジー』に掲載された。この研究はフィリップ・J・カリー恐竜博物館(カナダ)のラーソン氏を中心とするチームによるものである。

約6600万年前、ユカタン半島(メキシコ)に直径約150kmの小惑星が衝突した結果、巨大な爆発が起こり、地上の生物の多くが絶滅の波に飲み込まれた。第一波の爆発をかろうじて生き延びた生物たちも、大量の粉じんが空中を渦巻き、気温が低下した地球上で、持ちこたえねばならなかった。

ブロントザウルス(雷竜)やティラノザウルス、その仲間の恐竜は死に絶え、生き残ったのはわずか数種類… その子孫が進化を続け、鳥として空を飛び回っているのである。

論文の要旨は、「翼を持ち、鳥の祖先であった恐竜が、歴史の流れのどこかで動物食から穀物食へと食事法を変えていたからこそ、絶滅時代を生き延びることができた」ということである。
彼らは肉食をやめ、さまざまな種子をついばむことへ特化した。この「種子食」こそが、小惑星衝突後の絶滅時代を生き残るカギになったと、研究者らは推測する。

ここに到るまで研究者らは多くの恐竜の歯を調査し、あごに歯を持つ恐竜は小惑星衝突後に絶滅したが、歯を持たないグループ、つまり肉食をやめて穀物食へとシフト済みだった恐竜は、生き残ったことをつきとめた。「今日でも、山火事のあとに同じことが見られる。焼け野原となった土地に真っ先に住みつく脊椎動物は、種子を探し出すことの出来る鳥類である」と述べている。

鳥類祖先の生き残りの理由について、これまでは「からだが小さめで、脳が大きめであることと、卵の形状に起因する」と考えられていたが、ここに新たな説が登場したことになる。鳥類の祖先がサバイバルを勝ち抜いた理由は、おそらく複数にわたるものであろう。

翻訳おわり
私たちが目にする鳥たちは、気の遠くなるような時間を経て進化した姿なんですね!
もと記事(ドイツ語)は こちら