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先日ブログのお仲間ハロゲンくんが、千葉県の野鳥病院について書いていらっしゃいましたが、こちらはドイツの保護センターのおはなしです。

6月の西ヨーロッパ大洪水、日本ではあまり報道されませんでしたね。
エルベ川、ドナウ川などの大河川があちこちで氾濫して、たくさんの町が水没しました。
一気に水が来た所では、逃げ場を失った鹿やウサギやキツネなどの野生動物がたくさん死んで、そういう痛ましい写真も新聞に載せられていました....

7月11日付ケルンの新聞電子版から、大洪水の際に保護されたビーバーの"その後"です。
記事を読んでみますね。  以下訳文

赤ん坊ビーバー『モモ』、すくすく育つ

baby-biber.jpg
ビーバーの赤ん坊「モモ」は、エルベ川の大洪水で家族をなくしてしまった。
今はハンブルクにある野生動物センターが養育にあたっている。
自然の中で生きてゆくために必要なことすべてを、モモはここで学ぶことになる…泳ぐこと、齧ること...

親代わりを務めるセンター主任エルドマン氏は語る。「モモはだいぶしっかりしてきまして、もう人参を切り倒すことだってできるんです」。
本物の樹木を切り倒すにはまだまだだが、少しずつ力がついてきた。

エルドマン氏。モモを、プールに浮かぶ木の板に乗せる
biber1.jpg

見守られながら泳ぎだす
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計画によると、ほかの場所で保護されている3匹のビーバーも、これからモモの仲間として一緒に育てられて、将来は皆一緒に自然に放されることになっている。

この野生動物センターにはモモのほかに、洪水の際に保護された動物が5頭いる。ノロジカの子供2頭、野うさぎ2匹、アライグマの赤ん坊1頭。

翻訳おわり
ビーバーは「自分の生活のために周囲の環境を作り替える、ヒト以外の唯一の動物」なんですって。
自然に放せるまでは長い道のりでしょう。うまくゆくといいですね。
ところで、ビーバーの和名は「海狸(うみだぬき)」だそうです。ちょっとヒドくない?(笑)
もと記事(ドイツ語)は こちら
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ベランダの植木についたアゲハの卵。
孵る瞬間を写真に撮ってみました。
(バカチョンカメラでとったのをトリミングしたので、映りは最悪 ...ごめんね)

下の写真は、それぞれ別な個体ですが、時間順に並べてみました。

白い卵が黒くなってきたら、翌日くらいに誕生です。
ei400.jpg

卵の殻をやぶって抜け出たところ
殻から出た

 小一時間もすると、自分が出てきた殻をきれいに食べます。モグモグ....おいしい!
geschluepft.jpg

幼虫10名様です。(画像には5つほどしか見えません)
blaetter450.jpg

さて、今日はミントのお茶で、ベランダの植木の消毒、初体験....
スーパーで大束100円で入手したミント。
すこし煮出して....
mint400.jpg

植物にやさしい消毒剤だそうです 効果はどうかな.....
minttee300.jpg
2013.07.13 シェール アミ
…ハトの話の訳文、前回の続きです。今日のは有名なハトのお話。
cher ami


十字軍遠征にハトが活躍した時代から1000年以上の時が流れ….
第1次世界大戦末期の1918年10月4日、フランス。

アメリカ軍のチャールズ・ホィットルシー少佐率いる500名の連隊(第77歩兵師団308連隊、訳者注)は、フランスのヴェルダン近郊で敵陣に深く入り込み、通信手段もなくそこで孤立していた。
後方のアメリカ砲兵隊はホィットルシーの連隊の居場所を把握できなかったので、ドイツ軍に砲撃を加えながら、味方をも誤射していた。1日に300名の兵が亡くなる惨状だった。

味方からの砲撃を止めさせるためにホィットルシー少佐に残された手段は、伝書鳩の「シェールアミ(フランス語で”いとしい友よ”)」だった。
(この前に飛ばされたハト2羽は撃ち落とされてしまい、最後に残った1羽だった。訳者注)

第1次世界大戦では無数の軍鳩が前線に投入されたが、シェールアミほど後に語り継がれたハトはいない。
10月4日ホィットルシー少佐はシェールアミを飛ばした。ドイツ兵は飛び立ったハトに発砲し、シェールアミは胸に被弾したほか右足と片目をなくしていたが、アメリカ軍師団本部まで飛び続けた … 25マイルもの距離を。

本部に戻ったハトの左足の通信文には、「わが軍は味方を集中砲撃している。お願いだから、やめてくれ!」
こうしてシェールアミは、194名の兵士の命を救った。

フランスは戦後このハトに、軍人の勲章であるCroix de Guerreを贈った。
シェールアミは1年後に亡くなり、その亡骸は剥製となって、今でもスミソニアン博物館に展示されている。
220px-Cher_Ami_cropped.jpg(スミソニアン博物館のシェールアミ)

翻訳おわり
上の文の締めくくりとして、「ハトに餌をやる人、フン害に顔をしかめる人、鳩レースに打ち込む人、ハト避けに有刺鉄線をはる人 … 5000年におよぶ人間との付き合いの中で、ハト達はどんな環境にも適応することを学んで、人間の近くで生き続けている」と結んでありました。
シェールアミの話は、アメリカでちょっと年配の世代には有名とのこと。

この話は『ファイブ・デイズ・ウォー(原題「THE LOST BATTALION」)』という映画にもなっています。
シェールアミのウィキ(英語)もあります こちら
原文(ドイツ語)は こちら
2013.07.10 ハト
さて、こまめに水を飲んでいないと干からびそうな暑さで....
鳥類の中でハトの仲間だけが、「下を向いたままゴクゴクと水を飲む」ことが出来るんですってね。
今日のテーマは 

ドイツの放送局のサイト、自然科学欄の記事です。

まず旧約聖書でノアが放ったハトが、オリーブの枝をくわえて帰るくだりが紹介されています。
長い文章なので、旧約聖書のハトはとばして....(すみません) その続きの抄訳です。
tauben_weiss_mau.jpg

1949年パリ国際平和擁護会議。
作家ルイ・アラゴンは、世界初の平和会議にふさわしいシンボルモチーフを探して、友人のパブロ・ピカソを訪ねた。ピカソはグラフィックの束をめくると、1枚のハトの絵柄を選び出した。
これは、画家のアンリ・マティスがプレゼントしてくれた白いハト2羽のケージがアトリエに置いてあり、そのうちの1羽をデッサンしたものだった。旧約聖書のハトの話が、ピカソにインスピレーションを与えたのだ。
この時のポスターがきっかけで、ハトは平和のシンボルと呼ばれるようになる。

しかしハトが「平和の象徴」に本当にふさわしいかどうかは疑問である。かれらは意外に好戦的な面を持っており、ドバトは1年に2000回もけんかをするという報告がある。

ハトの登場はそもそも紀元前の時代、女神アフロディテの横に、「愛のシンボル」として置かれていた。ハトの交尾行動からみて当然ともいえる。ペアのハトは仲睦まじくクウクウと鳴きかわし、しかも生涯ペアを替えることがない … 浮気は別として。

ハトといえば、町のドバトばかりではなく、その種類は300以上。世界におよそ5億羽が生息する。
ハトと人間の歴史は5000年前にさかのぼる。この時代ハトは、太平洋・大西洋の海岸に近い岩場に生息していた。
しかし人間が海の近くに家を建て、穀物栽培を始めると、岩場のハトが餌を求めて人間の近くで暮らすようになる。

メソポタミア文明を作ったシュメール人は、ハトをタンパク源、または猛禽類を捉えるための囮に使っていた。
古代エジプト人は、ハトの糞を肥料に利用していた。
古代ローマ人は食材として、大きな鳩舎でハトを飼育した。
intro_tauben_post.jpg

やがてハトの飛行能力(時速160km)とすばらしい帰巣本能に目を付けた人間は、メッセンジャーとしてハトを利用するようになる。
最初にこれを行ったのは9世紀のアラビア人。ポストネットに組み入れた各都市に大きな鳩舎を作り、伝書鳩の郵便網を構築した。アラビア人は十字軍遠征でも、ハトの郵便ネットワークを活用していた。

翻訳おわり
ここから先も興味深い話が続くので、次回につづきます。
ピカソは鳩が好きだったそうですね。下はウィキから引用。

ピカソにはかけがえのないパートナーがいた。それは鳩である。幼い頃から鳩が大好きだったピカソにとって、鳩は生涯の友であり、重要なモチーフでもあった。アトリエには妻さえも入れなかったが、鳩は特別に入れていた。フランソワーズ・ジローとの間に生まれた娘に「パロマ=鳩」と名付けた。


原文(ドイツ語)は こちら




2013.07.03 都会の養蜂
前回のブログを読んだ方が、鳥の進化についての本を紹介して下さいました。
フィンチの嘴…ガラパゴスで起きている種の変貌
ピュリッツァー賞を受賞したノンフィクションです。Nさん、有難うございました!
有名な本らしいんですが、私はまだ読んだことありません。
ご興味のある方は、アマゾンの書評を.... こちら

さて、今日は蜂蜜のおはなし。4月17日のヴェルト紙の記事から、抄訳です。

都市養蜂
imker450.jpg

ニューヨーク、パリ、ベルリン、シュトゥットガルト…これらの都市の共通項は?
答えはミツバチの群れがいること。「都市養蜂」は、今やひとつの流行になっている。

トウモロコシのモノカルチャーが進む地方では、6月以降に花が皆無という土地も多くなった。
その反対に都会にはいつも色々な花があり、ミツバチにとっては蜜を集めやすい環境なのだ。

都会の排気ガスが蜜に混じるのではないか....ミツバチがヒトを刺しはしないか...等の心配はいらないと、ヴュルッテンベルク州養蜂協会長キンケル氏は言う。
「ミツバチは、取り込んだ有害物質をフィルタリングできるのです。色々な花の蜜が混じった美味しい蜂蜜がとれますよ。養蜂家がプロでもアマチュアでも、蜂蜜の品質に変わりはありません。また養蜂には穏やかな性質のハチが使われていて、極端にいじめたりしない限り大丈夫です。花の咲く広い庭をお持ちなら、蜂の巣箱を置くことをお勧めしますよ」

この提案を早速導入したのは、バーデンヴュルッテンベルク州首相のクレッチュマン氏。去年から州庁舎に、巣箱を4つ(35000匹)置いている。 (写真は州庁舎)
villa reitzenstein
収穫予定の蜂蜜は年間80kg。
この「庁舎はちみつ」は、州を訪れるゲストへの贈り物になる。

シュトゥットガルト空港でも自前の蜂蜜を、特別ゲストへのプレゼントにしている。
去年4つ置いた巣箱を、今年は6つに増やし、空港内の緑地はすべて「入居済み」となった。
biomonitoring.png


シュトゥットガルト市のSteinbergerホテルでは、平屋根の上にミツバチの巣箱を4つ置いている。
steinberger hotel
群れひとつから1年間にとれる蜂蜜は60kgほど。「ホテル内で作られる絶品トルテには、この蜂蜜を使っています」と、ホテル広報担当は言う。
『ホテル自家製蜂蜜』の小瓶は、ホテルに宿泊する特別ゲストの枕に、プレゼントとして置かれている。


記事原文(ドイツ語)は こちら

日本でも「銀座ミツバチプロジェクト」が有名ですよね ^^