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2016.07.01 Brexitその後
前回に続いてイギリス関連。
ドイツの報道からの翻訳文です。6/28シュピーゲル誌電子版の記事を訳してみました。
以下訳文

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今回の国民投票をめぐりイギリスでは、EU諸国出身者への風当たりが強くなった。中でもポーランドから移住した人々は、イギリスから追われるかもしれないと憂慮している。

ロンドンの街角にあるスーパーマーケット「ポロネーズ・デリカテッセン」。窓には“残留”と書かれたステッカーが貼られたままになっている。選挙は離脱派の勝利に終わった。店内でヨーグルトを棚に並べている女性店員は、「ポーランドへの帰国を迫られるかも知れません。その日がいつ来るかわかりませんが、気がかりです」と語る。

イギリスに住む外国人は2100万人で、そのうち75万人がポーランド出身者である。EU内で労働市場が開放されているので、働くために移住してきた人々だ。今かれらの将来には不安が広がっている。

上述の女性店員は、ポーランドからイギリスに移住して2年になる。しかし「まだ2年」なのだ。イギリスに5年在住しないと、国籍を取得することはできない。

タクシー運転手のクリスティアン(31)は、「私はイギリスに住んで7年になるので、セーフです」と語る。彼は、東ヨーロッパからの移民を突然追放したがる人々に納得いかない。「移住者たちは、みんな必死に働いていますよ」。

東ヨーロッパからの移民増加は、国民投票の主要テーマのひとつだった。健康保険システムの問題や家賃の高さ、低賃金労働者をめぐる問題などは、すべて移民のせいであるというのが離脱派の主張だ。彼らは「移動の自由」を廃止するために、離脱に票を入れたのだ。

キャメロン首相も、その後継者と目されるジョンソン氏(*)も、さしあたり移民たちの生活は何も変わらないと発言しているが、将来の保障は何もない。
正式なEU脱退まで、移民はここに居られるのだろうか? 今のうちにイギリスに移住しておこうと、短期的な流入増加も考えられる。いずれは能力審査を通らなければ逗留権が与えられないようになるのだろうか? もしそうなると現在の単純労働を、将来誰が担うのだろう。

ポーランドからの移民の多くは、例えば東部イングランドのような野菜産地で働いている。移民数は2001年以降10年間で5倍に膨れ上がった。移民問題は町民を二分する対立を起こし、他の地域にはないほど多くの離脱票へとつながった。しかし軋轢はあっても、農場の仕事を続けたいと願うポーランド人は多い。
多くの移民は日給30~40ポンドで違法に働いている。国が定める最低時給は6.7~7.2ポンドほどで、日給は50ポンド以上になるはずだが、あまりにも労働者が多いため違法労働がまかり通っている。

国民投票が過ぎて、不快な気分が社会に漂うようになった。移民家庭の郵便受けに、「Go home」とか「ポーランドの虫けらは要らない」などと書いた紙を投げ入れるいやがらせも報じられた。
キャメロン首相もロンドン市長カーンも、こうした外国人敵視や人種差別的発言を許すべきではないという意見を述べている。
単に移民の経済的な問題にとどまらず、国民の社会的結束という意味でも、イギリスは揺れている。
(*)訳者注 6月28日の記事です。翻訳に2日かかったので情報が古くなりました。

長い記事、お読み下さって有難うございます!
もと記事は こちら
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