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2012.05.13
ドイツのオオカミ その3
このブログを訪問して下さった方から、オオカミ関連のニュース翻訳をと、リクエストを頂きました。ドイツ東部、ポーランドとの国境近くのラウジッツ地方には、オオカミが増えてきているそうです。
NABU(ドイツ自然保護協会)のホームページをのぞいてみると、5月2日付けで「オオカミの放浪行動調査について」という文がありますので、今日はこれを訳してみますね。
以下訳文
《オオカミの行動追跡調査》
雌オオカミに発信機を装着
森林生物学事務局LUPUSは5月2日、1歳の雌オオカミを捕獲し、発信機付き首輪を装着した。これはザクセン州Milkelerの群れの1頭である。GPS-GMS発信機によって、ザクセン州内の移動はもちろんのこと、行動範囲がほかの州へどのように拡がってゆくかについても、貴重なデータを得ることが出来るだろう。
LUPUSが行っているこの調査活動は、ザクセン州国土環境省と、「Wanderwolfプロジェクトグループ」との共同事業である。後者プロジェクトグループに参加しているのは、オオカミ保護協会(*1)、国際動物保護基金(IFAW)、ドイツ自然保護協会(NABU)、ならびにWWF。
(*1)オオカミ保護協会(GzSdW) Gesellschaft zum Schutz der Wölfe

(写真は首輪装着の際、麻酔中)
この体重27kgの雌オオカミには、FT8という標識が付けられた。
発信機をつけているオオカミは、現在もう1頭いる。「Nochtenerの群れ」の子供(Welpe♀)で、Görlitz自然公園内で交通事故に遭い、保護されて元気になったあと、今年の1月に発信機をつけて放された。データはLUPUS事務局に送信されている。
翻訳おわり
文中の「〇〇の群れ」は、その縄張りごとに研究者たちがつけている群れの名称のようです。
上記MIlkeler、Nochtener のほかに、Daubaner、 Seenland など、ラウジッツ地方だけで14もの群れがあって、テリトリーを分け合っています。(詳細図をご覧になりたい場合は こちら)
原文(ドイツ語)は こちら
ついでに..と言ってはなんですが..
別のサイトに、ポーランドのオオカミについての記述がありました。下に抄訳を載せてみますので、ご興味のある方はお読みになって下さい。以下翻訳文。
公式発表によると、現在ポーランド国内に生息するオオカミは750頭ほど。おもに国土の東端地域に生息している。(途中略)
第二次大戦後、オオカミは不幸をもたらす疫病神と見なされ、鉄砲で撃つばかりでなく、巣穴を燻し出したり毒を置くなど、様々な方法で殺されていった。
1950年代にポーランド政府は、オオカミの根絶計画を立る。そのための特別な任務に人が配置され、オオカミ一頭殺すごとに高額の報奨金が出された。1975年まで狩猟対象だったオオカミの狩猟期間は、8月1日~3月31日まで。Krosno、 Nowy Sacz、 Przemyslでは一年中可能だった。
1995年、学者や生態学専門家らの努力が実ってオオカミは、46行政区で保護動物に指定される。Krosno、 Suwalki、 Przemyslでのみ、11月から2月までに限って狩猟が許されていた。
その後1998年4月、自然保護や動物保護運動の高まりから、ポーランド全土で狩猟禁止になった。
しかし1999年、家畜を飼育する人々と、保護動物となったオオカミとの摩擦が報告される。(途中略)羊などの家畜の群れを、オオカミから守る方策がないことが問題だった。タトラ(Tatra)地方の羊飼いだけが、タトラ犬(*2)を使ってオオカミを防いでいたが、地方によっては家畜を何日も続けて放牧し、見守る人間が不在になってしまうので、被害を防ぐことが出来なかった。この問題を解決すべく、「National Strategy of Wolf Protection and Management」がポーランドの専門家を集めて対策にあたり、成果をあげている。
(*2)タトラ犬…ポーランドのタトラ山脈原産の護畜犬

原文は こちら
NABU(ドイツ自然保護協会)のホームページをのぞいてみると、5月2日付けで「オオカミの放浪行動調査について」という文がありますので、今日はこれを訳してみますね。
以下訳文
《オオカミの行動追跡調査》
雌オオカミに発信機を装着
森林生物学事務局LUPUSは5月2日、1歳の雌オオカミを捕獲し、発信機付き首輪を装着した。これはザクセン州Milkelerの群れの1頭である。GPS-GMS発信機によって、ザクセン州内の移動はもちろんのこと、行動範囲がほかの州へどのように拡がってゆくかについても、貴重なデータを得ることが出来るだろう。
LUPUSが行っているこの調査活動は、ザクセン州国土環境省と、「Wanderwolfプロジェクトグループ」との共同事業である。後者プロジェクトグループに参加しているのは、オオカミ保護協会(*1)、国際動物保護基金(IFAW)、ドイツ自然保護協会(NABU)、ならびにWWF。
(*1)オオカミ保護協会(GzSdW) Gesellschaft zum Schutz der Wölfe

(写真は首輪装着の際、麻酔中)
この体重27kgの雌オオカミには、FT8という標識が付けられた。
発信機をつけているオオカミは、現在もう1頭いる。「Nochtenerの群れ」の子供(Welpe♀)で、Görlitz自然公園内で交通事故に遭い、保護されて元気になったあと、今年の1月に発信機をつけて放された。データはLUPUS事務局に送信されている。
翻訳おわり
文中の「〇〇の群れ」は、その縄張りごとに研究者たちがつけている群れの名称のようです。
上記MIlkeler、Nochtener のほかに、Daubaner、 Seenland など、ラウジッツ地方だけで14もの群れがあって、テリトリーを分け合っています。(詳細図をご覧になりたい場合は こちら)
原文(ドイツ語)は こちら
ついでに..と言ってはなんですが..
別のサイトに、ポーランドのオオカミについての記述がありました。下に抄訳を載せてみますので、ご興味のある方はお読みになって下さい。以下翻訳文。
公式発表によると、現在ポーランド国内に生息するオオカミは750頭ほど。おもに国土の東端地域に生息している。(途中略)
第二次大戦後、オオカミは不幸をもたらす疫病神と見なされ、鉄砲で撃つばかりでなく、巣穴を燻し出したり毒を置くなど、様々な方法で殺されていった。
1950年代にポーランド政府は、オオカミの根絶計画を立る。そのための特別な任務に人が配置され、オオカミ一頭殺すごとに高額の報奨金が出された。1975年まで狩猟対象だったオオカミの狩猟期間は、8月1日~3月31日まで。Krosno、 Nowy Sacz、 Przemyslでは一年中可能だった。
1995年、学者や生態学専門家らの努力が実ってオオカミは、46行政区で保護動物に指定される。Krosno、 Suwalki、 Przemyslでのみ、11月から2月までに限って狩猟が許されていた。
その後1998年4月、自然保護や動物保護運動の高まりから、ポーランド全土で狩猟禁止になった。
しかし1999年、家畜を飼育する人々と、保護動物となったオオカミとの摩擦が報告される。(途中略)羊などの家畜の群れを、オオカミから守る方策がないことが問題だった。タトラ(Tatra)地方の羊飼いだけが、タトラ犬(*2)を使ってオオカミを防いでいたが、地方によっては家畜を何日も続けて放牧し、見守る人間が不在になってしまうので、被害を防ぐことが出来なかった。この問題を解決すべく、「National Strategy of Wolf Protection and Management」がポーランドの専門家を集めて対策にあたり、成果をあげている。
(*2)タトラ犬…ポーランドのタトラ山脈原産の護畜犬

原文は こちら
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ポーランドでもドイツでも、いまは、オオカミがは保護されるようになっているのですね。
家畜の放牧との問題もあるでしょうが、全体として、成果を上げているとのこと
翻訳ありがとうございます。
家畜の放牧との問題もあるでしょうが、全体として、成果を上げているとのこと
翻訳ありがとうございます。
2012/05/13 Sun 13:29 URL [ Edit ]
ゴイサギ☆ペンギン
日本では鹿の害にオオカミを・・・という話がでていますよね。
海外で成功したからといって、国土の狭い日本でオオカミなんて・・・
鹿を保護しよう!
増えて人間の生活に害をもたらすから殺処分しよう!
こんな勝手なことばかりが繰り返され、また10年、20年後のことも考えずに「現在」の対処的な話ばかりで、本当にそれで良いのか疑問を感じてしまします。
(私の田舎は鹿の保護の関係で、現在は増えすぎた鹿で害が出ている状態です)
さて、今夜ニシコクマルガラスを覗いたとき、親鳥が巣箱から出ていきました。ヒナのクチバシがしっかりしてきたなぁ~と観察しているところに親が戻ってきて、給餌する瞬間を目撃してしまいました♪
大きな口を開けるヒナ、可愛かったです (*^_^*)
海外で成功したからといって、国土の狭い日本でオオカミなんて・・・
鹿を保護しよう!
増えて人間の生活に害をもたらすから殺処分しよう!
こんな勝手なことばかりが繰り返され、また10年、20年後のことも考えずに「現在」の対処的な話ばかりで、本当にそれで良いのか疑問を感じてしまします。
(私の田舎は鹿の保護の関係で、現在は増えすぎた鹿で害が出ている状態です)
さて、今夜ニシコクマルガラスを覗いたとき、親鳥が巣箱から出ていきました。ヒナのクチバシがしっかりしてきたなぁ~と観察しているところに親が戻ってきて、給餌する瞬間を目撃してしまいました♪
大きな口を開けるヒナ、可愛かったです (*^_^*)
ぴんぷす
今回オオカミの記事を読むまで、こういうことは知らなかったのですが、彼らにとって受難の時代が長く続いたのだなぁと、驚いています。
こんなに目の敵にされちゃぁ、絶滅しますよね。
明日お目にかかるのを楽しみにしてま~す!
こんなに目の敵にされちゃぁ、絶滅しますよね。
明日お目にかかるのを楽しみにしてま~す!
2012/05/13 Sun 20:33 URL [ Edit ]
ぴんぷす
え~っ、給餌の瞬間を目撃したって、いいなぁ! 私はまだママの背中と、チビの頭しか見てないですよ!
そう、クチバシはしっかりしてきましたよね。
2つ目の卵はもうとっくに生まれているはずで、無精卵かもしれないと書いてありました。
名前の募集でトップになっているのは「パパゲーナ」なんですって(^^)
人間がオオカミを殺し尽くし、今度は何十年か後に鹿が増えすぎて森の木々が破壊される… もともと森にいた動物を絶滅させるのは、ほんとうに天に唾することなのですね。
ドイツのオオカミ保護活動は、少しずつ成果を上げているらしいんですけれど、それも東の地域のみ。取り戻すにはきっと、長い時間が必要なんでしょう。でもこういう記事を訳していると、関係者の熱意がひしひしと伝わってきました。
そう、クチバシはしっかりしてきましたよね。
2つ目の卵はもうとっくに生まれているはずで、無精卵かもしれないと書いてありました。
名前の募集でトップになっているのは「パパゲーナ」なんですって(^^)
人間がオオカミを殺し尽くし、今度は何十年か後に鹿が増えすぎて森の木々が破壊される… もともと森にいた動物を絶滅させるのは、ほんとうに天に唾することなのですね。
ドイツのオオカミ保護活動は、少しずつ成果を上げているらしいんですけれど、それも東の地域のみ。取り戻すにはきっと、長い時間が必要なんでしょう。でもこういう記事を訳していると、関係者の熱意がひしひしと伝わってきました。
2012/05/13 Sun 21:19 URL [ Edit ]
ぴんぷすさん
どうもありがとうございます。
ポーランドの情報まであって参考になります。
ミネソタの州政府が出している「オオカミ管理計画」というのを読んでいると、ミネソタ大学が研究した結果、
「オオカミの家畜被害を防ぐ有効な方法はないが、唯一効果があるとすれば、家畜を健康に育てること」というようなことが書かれています。
ガーディングドッグも複数飼うことが必要だとか。
タトラ犬はNABUのヴェッセル氏の講演の写真にあった犬とよく似ています。かわいい顔でカメラ目線の写真でした。
どうもありがとうございます。
ポーランドの情報まであって参考になります。
ミネソタの州政府が出している「オオカミ管理計画」というのを読んでいると、ミネソタ大学が研究した結果、
「オオカミの家畜被害を防ぐ有効な方法はないが、唯一効果があるとすれば、家畜を健康に育てること」というようなことが書かれています。
ガーディングドッグも複数飼うことが必要だとか。
タトラ犬はNABUのヴェッセル氏の講演の写真にあった犬とよく似ています。かわいい顔でカメラ目線の写真でした。
ぴんぷす
nabuのホームページに、上の記事より更に新しい日付で、バーデンヴゥルッテムベルク州(ドイツ南西部)でオオカミが視認された記事が載っています。
その記事の中では、州議会議長さん、狩りのマイスターさん、nabuの州代表さんこぞって、歓迎の言葉を述べていますよ ^^
その記事の中では、州議会議長さん、狩りのマイスターさん、nabuの州代表さんこぞって、歓迎の言葉を述べていますよ ^^
2012/05/19 Sat 16:38 URL [ Edit ]
ぴんぷすさん
ありがとうございます。
NABUのHP見ました。内容を教えていただいていると、ドイツ語がわからなくても、なんとなくわかったような気分になります。
州議会議長、ハンターが歓迎というのは、いいですね、ドイツは。
群れに名前をつけるのは、アメリカでもやっています。ニホンザルの個体に名前をつけるのと似たような感じですね。日本ではサルはA群B群と無粋な名前をつけてるようですが。
ありがとうございます。
NABUのHP見ました。内容を教えていただいていると、ドイツ語がわからなくても、なんとなくわかったような気分になります。
州議会議長、ハンターが歓迎というのは、いいですね、ドイツは。
群れに名前をつけるのは、アメリカでもやっています。ニホンザルの個体に名前をつけるのと似たような感じですね。日本ではサルはA群B群と無粋な名前をつけてるようですが。
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