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8月3日の日記の続きです。
ジェイムス・クリュスの代表作『笑いを売った少年』ご存知でしょうか? 
わくわくしながら読める素晴らしい物語です!

笑いを売った少年 小


3歳で母を亡くし、12歳で父を失った逆境の少年は、どんな賭けにも勝てる力と引き替えに、誰の心をも明るくするとびきりの笑いを売ってしまう。やがて富より笑いが大切だと知った彼は、笑いを取り戻す旅に出る…。

…少年が、奪われた大切なものを取り返すために、冒険の旅をする…というストーリーは、ケストナーの「エーミールと探偵たち」と似ているかも知れませんね。こちらの物語では、盗られた物がお金ではなく、「とびきりの笑い」! いかにもクリュスらしい着想だと思います。というのは、この作品以外でもクリュスは、『笑い』=『人生でなにより大切なもの』というメッセージをたくさん残していて、その信念がいつもはっきり伝わってくるのです。この作品も、クリュスお得意の枠構造(ストーリーの中に、沢山の小ストーリーが組み込まれている)で書かれています。


出版社Oetinger Verlagの紹介文から...
Timm Thalers Lachen steckt alle an. Bis er es an den geheimnisvollen Ballon Lefuet verkauft. Beide schliessen einen Vertrag : Der Ballon erhält Timms Lachen, und Timm gewinnt ab jetzt jede Wette.
ティム・ターラーが笑うと、周りのみんなも一緒に笑わずにはいられない。その「とびきりの笑い」を彼は、正体のはっきりしないリュフェット男爵に売ってしまう。契約の内容は、男爵は笑いを手に入れ、かわりにティムは、今後どんな賭けにも勝てるようになるというものだった。

…リュフェット男爵の綴り lefuet を後ろから読むと、Teufel,つまり「悪魔」という言葉になります。少年は、男爵の仮面をつけた悪魔を相手に、知恵をしぼることになるわけです。悪魔が欲しがるほどのティムの笑いとは、「おしまいにしゃっくりの出る、お腹の底から出る笑い声」。チャーミングな冒険物語でした!
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