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2013.07.13 シェール アミ
…ハトの話の訳文、前回の続きです。今日のは有名なハトのお話。
cher ami


十字軍遠征にハトが活躍した時代から1000年以上の時が流れ….
第1次世界大戦末期の1918年10月4日、フランス。

アメリカ軍のチャールズ・ホィットルシー少佐率いる500名の連隊(第77歩兵師団308連隊、訳者注)は、フランスのヴェルダン近郊で敵陣に深く入り込み、通信手段もなくそこで孤立していた。
後方のアメリカ砲兵隊はホィットルシーの連隊の居場所を把握できなかったので、ドイツ軍に砲撃を加えながら、味方をも誤射していた。1日に300名の兵が亡くなる惨状だった。

味方からの砲撃を止めさせるためにホィットルシー少佐に残された手段は、伝書鳩の「シェールアミ(フランス語で”いとしい友よ”)」だった。
(この前に飛ばされたハト2羽は撃ち落とされてしまい、最後に残った1羽だった。訳者注)

第1次世界大戦では無数の軍鳩が前線に投入されたが、シェールアミほど後に語り継がれたハトはいない。
10月4日ホィットルシー少佐はシェールアミを飛ばした。ドイツ兵は飛び立ったハトに発砲し、シェールアミは胸に被弾したほか右足と片目をなくしていたが、アメリカ軍師団本部まで飛び続けた … 25マイルもの距離を。

本部に戻ったハトの左足の通信文には、「わが軍は味方を集中砲撃している。お願いだから、やめてくれ!」
こうしてシェールアミは、194名の兵士の命を救った。

フランスは戦後このハトに、軍人の勲章であるCroix de Guerreを贈った。
シェールアミは1年後に亡くなり、その亡骸は剥製となって、今でもスミソニアン博物館に展示されている。
220px-Cher_Ami_cropped.jpg(スミソニアン博物館のシェールアミ)

翻訳おわり
上の文の締めくくりとして、「ハトに餌をやる人、フン害に顔をしかめる人、鳩レースに打ち込む人、ハト避けに有刺鉄線をはる人 … 5000年におよぶ人間との付き合いの中で、ハト達はどんな環境にも適応することを学んで、人間の近くで生き続けている」と結んでありました。
シェールアミの話は、アメリカでちょっと年配の世代には有名とのこと。

この話は『ファイブ・デイズ・ウォー(原題「THE LOST BATTALION」)』という映画にもなっています。
シェールアミのウィキ(英語)もあります こちら
原文(ドイツ語)は こちら
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