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2015.06.16 スカラベ
ここしばらく旅番組が続きましたので….
今日は日常に戻って、フンコロガシの翻訳文です。 
 
スカラベ(フンコロガシ)は、エジプト王家の谷の壁画にも描かれている由緒ある昆虫です。
壁画

6/10 ヴェルト紙の科学欄から。 
原文の昆虫名 Dungkaefer の訳語ですが、ここでは「糞虫」ではなく、ファーブル昆虫記でおなじみの属名「スカラベ」を使いたいと思います。
以下訳文。


ある種の生き物が生態系に「かけがえのない役目」を担っており、しかも人々はその存在の重要性に気づいていない…スカラベはその良い例である。
dungkaefer400.png

「アザラシやイルカのような人気はなくとも、この偉大なる昆虫抜きにして豊かな自然は得られません。しかし昔に比べて、一年中放牧地として使われる土地が減少しているのです。糞を食べるスカラベにとっては、きびしい環境になりつつあります」と、環境学者のイェルン・ブーゼ博士(コブレンツランダウ大学)は言う。
スカラベがいかに大切な存在か… ブーゼ氏の語る5つの理由に耳をかたむけよう。

その1 栄養素の循環
「牧草地を例にとりましょう。草食動物が、地上バイオマスの一部である植物を食べ、糞をします。その中には吸収されなかった栄養素、つまり植物の堆肥となり得るものがたくさん混じっています。これを植物に還元する橋渡し役がスカラベなのです。
この循環が機能しなくなると、草地は数十年で荒廃してしまいます。
タンザニアのセレンゲティ国立公園では100万頭のヌーが生息し、草をはみ、糞をします。糞に含まれる栄養素は、小さなスカラベの働きで地面に還元されているのです。こうした大規模なリサイクリングなしには、サバンナの自然は保たれません」。

その2 土壌に酸素を送る
「スカラベは地中に穴を掘り、その奥に置いたフン玉に卵を生みます。幼虫は糞玉を食べて育つのです。こうした穴は、地中に酸素を送る働きをして、土壌を豊かにしています」。

その3 植物の種の拡散
「草食動物の糞には植物の種が混じっています。
スカラベのおかげで、この種が地中で発芽するチャンスが生まれます」。

その4 寄生虫の繁殖を抑える
「草食動物の消化管や糞には寄生虫が存在します。糞が地上に放置されたままだと、寄生虫も繁殖してしまいます。スカラベは糞を土中へ運び、寄生虫の繁殖を防いでくれているのです。以前オーストラリアでは、大量の牛を飼育する一方でスカラベがいなかったため、糞の処理が大問題となりました。そこでスカラベを飼育し、草原に放す作戦が実行されました」。

その5 植物の生育促進
「植物を、『肥料無し』 『肥料あり』 『肥料+スカラベ』 の3つに分けて実験室で育ててみると、『肥料+スカラベ』が植物にとって一番良いことがわかります。スカラベが、肥料とともに土をかき混ぜた効果でしょう」。

翻訳おわり
子供の頃、初めてファーブル昆虫記を読んだ時の感動がよみがえりました(^^)
スカラベくんの大奮闘、youtubeからお借りしたのが こちら (58秒)
もと記事(ドイツ語)は こちら
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